あるところに村があった。
しかしつい最近までは何もなかった。
いつ頃か誰かが住みだしたからだ。
街にはニートと呼ばれる「種族化」されたものたちがいた。
仕事にありつけず、いや仕事にありつこうともしない。とにかく家にいる。家にいるので街にはいないが社会がそれに目をつけつつあった。
彼らにはこの世が薄汚れた、間もなく消えてなくなる危機を抱いたもののように見えている。
ある日家に引きこもっている兄弟を抱える母親が山に行こうという。
兄弟たちはそうそう簡単に出てくることはないのだが、この日はなぜかすんなりを部屋から出てきた。母親と兄弟たち。一見すればただの家族旅行。しかしその雰囲気はとてつもなく異様だった。
母親は兄弟たちにこういった。
「きょうからここで好きな事をしなさい。」
兄弟たちから何か言ってくるのかと思えば何もなかった。
母親はそう言い残すとその場から立ち去った。兄弟たちはその姿をただ黙って見送っていた。
それから兄弟たちの生活が始まった。が、キャンプをしたことはあってもそれ以外の経験はない。
兄弟の一人が小屋を見つけた。この日兄弟たちはそこで夜を明かした。