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「ふしぎ星のふたり姉貴」9話目「一難去ってまた一難」にしようかなぁ。

宝石の国の某所、ちょっと正確に言うと昔ブライト王子が知らなかった東の壁の世界。
以前におひさまの国のふたご姫が「プロミネンス」と言う力で、殺伐としていた所を第二の観光名所のようになった。とにかく笑いの絶えない町。いつしか笑い倒れの町と呼ばれるようになっていた。そんな所にどういう訳かローマンの手下が誰かを捜しているようであった。無論それはこの間の会席でローマンを「ぼこぼこにした」宝石の国の特別外交官のユークを暗殺しに行くためであった。
なぜ彼らはここにユークが居ると踏んでいるのか。

その前にユークという者は本来技術者としてふしぎ星に招かれた人物であった。アーロン王にそれを気に入られた。いつしかふたりでお茶の時間をする回数も多くなっていた。そんななかユークはふしぎ星のことについて勉強をしたいと申し出た所、アーロン王はある条件を付けた上でそれを承知した。それが特別外交官としての使命であった。ふしぎ星の平和を絶やさぬ事。それが使命である。これにより彼は実際各国を回ってふしぎ星のことについて勉学を重ねた。
ただ彼にも分からなかった事があった。
それはクリスタルマウンテンに住んでいるという水晶の天使のこと。
元月の国の大臣ローマンがなんのために何らかの謀略をしていることであるか。
そして
なぜおひさまの恵みが衰えていると言われているのかを。


そのころユークは自ら主催するパーティーの最中だった。
パーティーにかかわらずお酒が飲めないユークは、自らの活動方針を延々としゃべりまくったかと思えば、ふしぎ星でこういう事があったりした、ああいう物があると自らの調査日誌をひけらかしていた。
なぜパーティーを開いていたかというと、「元」月の国の大臣を招待してこの間のご機嫌斜めを直してみようと言うつもりでいた。が、彼はとうとうパーティーが佳境に入ってもやってこない。突然ユークはこう言い放った。
「今から明かりを消します」
なぜこんな事を言ったのか皆不満そうな顔をしていた。
「パーティーはこれからだろ!」
皆こういう思いだったようだ。
「明かりを消したあとに何かが起こります。」
と言い続けて小声で
「…本日のゲストの代理人がやってきます。」
ユークは会場の管理人に全ての明かりを消させた。

さてユーク暗殺をもくろむローマンの手下だが、会場の窓から漏れていた明かりが消えたと同時にそれを合図代わりに会場へ侵入した。
「いやーきたきた。殺し屋さん殺し屋さん。…へーい殺し屋でース。」
明かりの消えた会場でユークはなにやら一人で盛り上がっていた。
小話をはじめた。

最近どうですか殺し屋さん。
イヤー商売さっぱりよ。
どうしてだいそりゃ。
徳さん最近ニュース見てないのかい。
いやね、こっちもニュース見ようとは思うんだが、なかなか時間が無くて。で、なんで商売さっぱりなんでい。
聞いておくんなまし旦那。最近あっしの仕事減る一方なんでい。
さっきも似たようなこと言ってたよ。で、なんで仕事がさっぱりないだい?
いえね、最近殺人事件多いでしょ。
あーそうだなぁ。何かにつけて殺されてる人って多いなぁ。
昔はそんなに多くなかったんですよ。
まーそうだな。殺し屋さんのお前が言うにはヘンだが確かな話だ。
でね、簡単に言うと最近素人が大手とカマ振って歩いているんでぃ。
カマって飯たく釜か?
旦那ジョーダン言っちゃいけねぇ。凶器のことですよ凶器。
カマって凶器になるのか?
飯たく方のじゃねーぜすよ。稲刈る方のカマでサーね。
飯も稲もどっちもどっちじゃねーか。で、なんで素人が大手振って歩いているって言うんだ?
そこなんですよ。あっしらはうまいことやってすぐ逃げる。ところが素人が殺しをやるとろくな事がおこらねぇ。
まーお前さんにしてみりゃあ素人の殺しはひどいんだろうなぁ。
そのとーりでい。でね、旦那はしらねーかも知れねーけど、あっしらは非道はやらねぇ。素人はそれがわからねぇ。ただ殺しって言うのはやればいいってもんじゃねーんですぜ。やるにも美学があるってモンですよ。
殺しに美学が聞いてあきれる。どうでも良いからそんな商売今日日もう流行らんぞ。
馬鹿言っちゃあいけませんよ。誰でも「殺してやりたい」って事の一つや二つ
ある訳無いだろ。だいたいちょっと悪い事してみろ。したらすぐばれて下手すりゃお巡りさんのご用になってしまうわい。
何を言いますか旦那。じゃあ戦争なんてあれ全員重罪人ですよ。
分かったから、殺しと戦争をごっちゃにするな。
えっ?一緒じゃないんですかい?
当たり前だ。今は武器を使わないでも戦争やってるんだ。交通戦争つってなぁ。他にもあるがこれ以上しゃべりたくねぇ。
で、旦那、旦那のお仕事はなんですかい?
そりゃあお前みたいに暇なんて無い。ニュース見る暇がないくらいになぁ。
だから旦那のお仕事ってなんですか。
ニュース読んでるんだ。ニュースキャスターだ。
ほほーんなるほど。そりゃあそんな暇ないわなぁ。じゃあどうでい。早速ニュースよまねぇか。
何?
旦那だからすぐに教えるけど、三丁目のたばこ屋のバーちゃん。
あー最近店締めてるなぁ。ついこの間通夜にも行ったよ。
それ殺ったのあっしなんですよ。

…と言った所で物音がした。
ユークはここで小話をやめた。
そしていきなり明かりをつけさせた。
なんとすぐ近くにローマンの手下がいた。
「さっきの小話の続きを聞きたけりゃあその武器をおろしな」

などではなく
「おー誕生日おめでとう。今日お前の誕生日だろ。まー座れよお前ら。」
と打って出た。ローマンの手下にはまさに豆鉄砲。強引に彼らを座らせたあとにそのままパーティーを続行した。唖然とするローマンの手下。
暗殺相手に歓迎された。しかも誕生日でもないのに誕生日会が開かれている。暗殺以外何も考えていなかった彼らはただ唖然とするしかなかったようだ。それもそのはず強引に座らされたあとに縛られていたからだ。このあとみんなでローソクを吹き消させる代わりにローマンの手下を的にパイ投げ大会になった。ユークはやり放題、ローマンの手下は焼きたてのパイにやられ放題。
一段落した所で
「ユーク殿になんの恨みがある。」
その声にハットした手下達。
「お前らは何者だ。」
手下達は言った。
「おれたちか。ユーク師の賛同人だが何か。」
ユークがふしぎ星各地を回っていた頃に各国でユークの意見に賛同する者達が現れた。
当初ユークは「師と崇められる」事を大変嫌ったが、今ではパーティーを開くまでになってしまった。別名「裏プリンセスパーティー」。そんなユークがここまでになるに至った意見は丁度アーロン王が特別外交官として遣わした「ふしぎ星の平和を絶やさぬ事」に沿う物であった。
宝石の国がかざぐるまの国と交流を図っているようにユーク自体はそれを拡張した意見で「国と部族の存在理由を明確として尊重しつつ交流を図る」つまり、「支配」とは対当する物である。

「俺たちはローマン様の命でここに来た。」
「なーんだあの手紙ちゃん届いてたんだ。」
「どういう事だ。」
「いやなに、ローマンさんにはこの間のお詫びがしたいから今日のパーティーに来てくださいねって、ここの地図も書いて送ったんだけど、代わりに君たちが来ちゃったのね。」
「謀ったな!」
「謀ってなんか無いよ。来てくださいって手紙書いただけだから。」
「ローマン様を侮辱する気か。」
「そりゃあ君たちが無惨に帰っていけばね。それよりもさっきの小話の続き聞きたい?」
「うるさい!」
「じゃあこいつらの寝室用意しといて。」
それは「牢屋に入れてね。」を意味した。
「立て!」賛同人が連行していく。
「俺たちをどうする。」
「どうもしないから今日はお休み。…あっ。今日のベッド、シーツ取り替えてないから。」
「お前はいったい何者なんだ。」
「明日話するから、今日はおとなしくしてるんだよーー…おやすみ。」


後日ユークはアーロン王のところに呼ばれた。
「ユーク殿先日は大変だったようですな。」
「ねぎらいのお言葉もったいない限りです。」
「さて、そなたには他でもなく話がある。」
「といいますと?」
「わがブライトのことだか…」
「ブライト殿がどうかされたのですか?」
「急に性格が変わった。」
「ちょっと待ってくださいよ。こけるにしては難しいネタですねぇ。」
「ネタではない。あまりにも性格の変わり方が急なのだ。カメリアは「ブライトったら急に大人らしくなった」と言って喜んでいたが、私にしてみたらあまりにもその変貌は恐ろしさを感じる。」
「いやいやアーロン殿、彼も思春期になった故でしょう。」
「思春期?」
「…性格が急に変貌すると言うことはあるという物です。心配には及ばないでしょう。」
「いや、絶対何かおかしい。と、言うことでそなたにはこれを渡しておきたい。」
「なんでしょうかこれは。」
「魔法の封書と思っていただければいい。しかしそれは他人には絶対見せないでくれ。」
「まーそりゃあ見せて私が得をする物でもないでしょうが、これはいったい…」
「わがブライトの手配書だ。これを使えばそなたでも我がブライトの身柄の拘束が出来る。」
「…なぜこれを私に。」
「それなのだ。私がそなたにまた一つ仕事をつかわしたい。」
「お受け致しましょう。」
「今のわがブライトの身の回り全てを調査してほしい。」
by waruihito_iak | 2005-10-19 00:05 | ふしぎ星のふたり姉貴