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「ふしぎ星のふたり姉貴」8話目「アートアートファイト」にしようかなぁ。

ミルロ姫はあと数日後の事に気が気でなくなってきた。
それは今度のプリンセスパーティーがベストアートプリンセスの選考会であるからだ。
某所の噂では他人が普通に受け入れない絵画を描いているとか、実際に絵の方をほったらかしにしているところがあり、少し絵の力が落ちていると思った。今度のプリンセスパーティーまでの間デッサンでもしようと思った。
ところが風景を書いても静止画をやっても全然おもしろくない画作に落ち着いてしまう。
「私設のジムなんか作ってる場合じゃなかったのよ!どうすればいいの…。」
そう言っていた頃にはタダうずくまっている状態で翌日の朝を迎えてしまった。

そこへエストヴァンが久々に会いに来た。
ミルロ姫は彼とお茶の時間にする事にした。とてもたわいのない時間が過ぎていく。
エストヴァンとは以前の政略結婚以来、なぜか手紙を交わす仲にはなっていたが、再び恋仲になるつもりはない。そうはいえども今のミルロ姫にはこの今の時間が大変いとおしい物になっていた。
何もなくたわいもない話をし、お茶を飲むだけ。
それだけでありながらどうしても憂鬱な気分に巻かれていく。
「私…ブライト様とこういう時間を過ごしたいと願ってるだけなの。」
心の中でそう叫び続けていた。

「ねぇミルロ、僕の事描いてよ。」
「えっ?」
「この間僕が破っちゃった絵があるでしょ。あとで僕のお父様がみていい絵だって言ってたよ。だから僕もあんな感じで描いてみてよ。」
「そうね。そうするね。」

ミルロ姫は昨日の残骸と化していたスケッチブックの最後のページを使ってエストヴァンを描いてみた。だんだん心が落ち着いてくる様子が自分で手に取れる。相手は幼いながらに自分の事を知っている。その相手が以前の自分の作風通りにしてくれと言う。うれしかった。

「エストヴァンありがと。久々にいい絵が描けたわ。」
「ミルロも絵が描けなくなる時ってあるの。」
「昨日はそうだったの。」
「じゃあ今日は?」
「今日は大丈夫。」
「ミルロ…」
「なに?」
「次のプリンセスパーティーってベストアートプリンセスなんだね。」
「そうね。」
「今日、僕を描いた感じで描けば絶対大丈夫だよ。」
「ありがとう。」
by waruihito_iak | 2005-10-09 22:46 | ふしぎ星のふたり姉貴