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「ふしぎ星のふたり姉貴」2話目「剣は…いらない」にしようかなぁ。

近頃ブライト王子には良い事がなかった。
何も出来ないでいる自分がいる。
なぜ自分が何も出来ないでいるかの探求よりもただ悩む日々。
ある時ブライト王子は城から偉く離れたクリスタルマウンテンの山中にいた。ただひたすら水晶の柱が立ちはだかる。それは森のようである。同時にその山の「自然」である。ところがなぜかその中に池のようなものがあった。池にしてはどうも不自然な形である。なぜならまるで露天風呂を無理矢理作ったかのような物だったからだ。それは盛り上がっており、堤防を築いたようになっている。

ブライト王子はその「池」に手をかざした。
池の中に手をつけた。
次第に手首、肘のところまで池につかる。
彼が手を浸したのは水晶の池。今の彼にとっては池の水と思って手をつけているのだが、それは紛れもなく水晶であった。何者かが何らかのために作った物だが、その中には黒いぬいぐるみのようなものがいた。ブライト王子はどんどんその中央に身を進める。服が「水浸し」であることすら眼中にもない。そこで何かを拾う。


「ブライト様…」
「ミルロ姫じゃありませんか。急にどうされたんですか。」
「私とご一緒願います。」
ミルロ姫がブライト王子を前にしていた。
ふたりだけで静かなパーティーのようなものが始まった。
「ブライト様…いかがされたのですか。その右手。」
早速確認をつく行動に出た。
「はずしていただけませんか。」
するとブライト王子は…
「最近出来た私の真の友達だ。」
「嘘です。」
「なぜです?」
「あなたの真の友達はアウラー王子のはずですよ。」
「いつそんな事を?」
「今日あなたにお会いしたときからです。気球大会での話も聞かせていただきました。あなたに会う前に。」
「…なんの事ですか。」
「見えますよ。ちゃんと。」
ミルロ姫が水晶の天使から授かった「純粋で強靱な力」の一つに人の心を観る能力がある。元々人間にはそういう力はあったり年を取って行くにつれて身に付くものである。大したことはないが、ちょっと違うのが物体とか画像を普通に観る感覚で心が見えてしまうところ。言うなれば人間の五感以外の感覚がとぎすまされたといった方が良い。
「私の何が見えると言いたいのですか。」
「あなたが気球大会の時にとても幸せそうにしていたときの物です。」
さらに
「今のあなたにはアウラー王子の様な人の方が重要なはずですよ。」

ブライト王子の逆鱗にふれたようだ。
「 う る さ い ! 」

「ブライト王子、あなたはいつからそんな乱暴な人になられたのですか。」
「今の私にとやかく言うのならミルロ姫でも…」
…容赦しないと言いつつ剣を抜こうとする。
「…お相手致しますブライト王子。」
「えっ?」
「ブライト王子の心の中をただで見て済ませるつもりはありません。」
ドレスを一気にはぎ取るミルロ姫。そのあとに出てきたのは私有のジムで汗を流しているときの姿。
「ミルロ姫…」
「私の真の姿をお見せ致します。」
ブライト王子の横でささやく者がいた。それが魔のパペット「ブーモ」だった。
「あんな小娘はおまえの剣ですぐに葬り去れ。」
その瞬間にブライト王子の頭脳はブーモに完全に支配される。
「良い根性してるな。その根性に免じて私から差し入れをしよう。」
ミルロ姫の足下に投げられたのは一本の剣。
「剣は…いらない!」
剣を足蹴りする。
「素手でこの私に立ち向かう気か。」
「そうよ。…でもびっくりしましたわ。」
剣と素手。
とうてい素手が勝てる見込みはない。
「ミルロ姫…覚悟!」
「ブライト様の剣のさびになれるのなら本望です。」

少しの間が流れた。
倒れていたのは剣を持っている方だった。
割れたガラスのようにエッジの効いたパンチが腹部を捕らえていた。それは心臓をえぐるように打たれた一撃だった。



「みるろすごーい。私結構運動神経良いって言われるけど、ああいう感じじゃないなー」
「あんなプリンセスになった日には余計にもっともプリンセスらしくないプリンセスの名が…うぐーー」
「ポップコーン切れちゃった。」
「まだ食べる気でぷもか。」
「じゃぁあ…」
「いい加減おとなしく観るでぶも。」
「おじさーん。」
「オー嬢ちゃんポップコーンおかわりかい。」
「ちがうの。今度ポテチちょーだい。」
「よーしちょっと待っててくれ。」

「嬢ちゃんおまちどう。」
「わーい!」
「嬢ちゃんポテトチップスが出来た由来は何か知ってるかい?」
「えーなになーにおしえておしえてー」
「それはね、おじさんがまだ小学校かどうか分からない頃なんだが、あるレストランで揚げたポテトを出してたんだが、丁度輪切りで厚みがあったからなかなか火が通りづらくて、客が「まずい」って言ったわけだ。するってーと、今度は店員がこれでもかと言うぐらい薄く切った訳だ。それを揚げて出したら客の方は「うまい」と大喜び。次の日から「ポテトチップス」としてメニューになり、そして今日がある訳なんだが、案外家でやるとこれがどうもうまくいかないんだなぁ。お嬢ちゃんが家でやるにはおすすめできないなぁ。」
by waruihito_iak | 2005-10-03 00:02 | ふしぎ星のふたり姉貴